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【第33話】錯覚か幻覚か


日が完全に落ちて、夜空を彩る星やオーロラが時間と共に厚い雲に覆われて隠れてしまった。
さっきまで穏やかだった風も、風圧で体が押されるほど強さが増してきたけれど、Sumomoは全くそれに気付かずに
精神を集中し続けた。

バベットはとうとう待ちくたびれたのか、虚ろになった目を擦っては大きなあくびをしてしまったが、諦めずに
何事もないであろう巻物に再び視線を向けた。その途端「あッ!」と耳を劈くような声を発した。
Sumomoが手に持っている巻物が突然フワリと宙に浮き、ブルブルと揺れながら青色の発光体と白い煙と一緒に
目の前に巨大なブラックホールのような渦が出来上がった。

Sumomo:・・・・・・来る!

【第33話】錯覚か幻覚か

巨大な渦が、大きくうねりを見せてそこから現れたのは、嘗ての闇の一党の暗殺者ルシエン・ラシャンスだった。


現在の闇の一党とは全く異なったルールで生きてきた彼は、どういう経緯で死んでしまったのかは想像できないけれど
よく目を凝らせば、首に絞められた痕や肌が露出している至る所が傷だらけで、どれだけ過酷な環境下で生きてきたのかを
物語っているようだ。

ルシエン:・・・従順なる夜母の子よ。200年経った今でも、闇の一党の教義を守り崇敬しているのだな。
常闇の父も、大変喜んでいる。礼を言おう。

バベットは渋い顔をして俯き加減で目をそらしたが、Sumomoはそれとは真逆で、ルシエンの言葉を逃すまいと
しっかりと耳を傾けて聞いていた。

Sumomo:始めまして・・・Sumomoです。聞こえし者としてまだまだ未熟者ですが、今後とも・・・よ、宜しくお願いします。

ぎこちない動きで、ルシエンへ頭を垂れた。その大事な挨拶の途中で、バベットは手を伸ばしてグイグイと
Sumomoの腕を掴み引っ張ると、小声で言った。

バベット:ねえねえ!私、驚いたわ。まさかSumomoが持っていた巻物に、ルシエンの魂が宿っていたなんて。

Sumomo:・・・ルシエン?この人、ルシエンっていうの?

バベット:そうよ。まあ、Sumomoが知らないのも無理ないわね。
ルシエンは今から200年前に、仲間の裏切りによって濡れ衣を着せられて殺された伝えし者なの。

バベットの衝撃的な発言に、Sumomoは戸惑いの表情を見せ、ゴクリと唾を飲み込んだ。

【第33話】錯覚か幻覚か

バベット:肖像画で顔の特徴は覚えていたけれど、本人と対面したのはこれが初めてよ。
・・・残念ながら幽霊として、だけどね。でも私は満足だわ。・・・まさかこんな形で出会えるなんて。
もしかしたらこれって運命かも!?うう~ん・・・・・・・・・見れば見るほど、なかなかのイケメンじゃない?

Sumomo: う・・・・・・うん、そうだね・・・。

バベット:あら?ルシエンには興味がないの?はは~ん・・・あの変態のことが気になって仕方ないのね?
仕方ないなぁ~も~・・・・・・・・・じゃあ取引をしましょう?
明日からSumomoはシセロと。私はルシエンと行動を共にするっていうのはどお?
あなたがガイアス・マロを殺して帰って来るまで、私はルシエンを借りてくの。これでいい?

Sumomo:もう、勝手なんだから・・・!
あのね、バベットが今思ってるほど仲は良くないし、そもそもシセロとは最近・・・あまり会話できてないもの。

バベット:ええ!?・・・・・・もうとっくにあなた達、付き合ってると思っていたわ。だってこの前、顔と顔を近付けて
チューしようとしてたじゃない。

Sumomo:はぁ!?あれはアイツが私の顔をまじまじとみていただけ!それだけ!!他に何も・・・・・・ないんだから!

完全否定したSumomoだが、バベットは何か引っかかりを感じずにいられない様子だった。

『特別な理由がない限り、そう簡単に顔を近付けたりはしないはずよね。・・・じゃあ、あれはいったい何の意味が・・・』

バベットは顎に手を当てて深く考え込んだ。その表情は真剣そのもの。
Sumomoはバベットの様子に不安を抱きつつも、"自分とシセロを無理矢理くっつけようと、また何か企んでいるのだ"と
疑う姿勢だけは崩さなかった。

そうこうしているうちに、長時間湯船に浸かっていたせいで、Sumomoの肌がブヨブヨにふやけて林檎のように
真っ赤に染まっていた。
すっかりのぼせてしまった体を動かそうにも、足がもつれて言うことを聞かず、黒いドレスを持つ手も震えておぼつかない。
まるで相当歳をくった老人のようだった。そしてその姿をルシエンは、無情な視線で追いかけていた。

【第33話】錯覚か幻覚か

脱衣場でやっと着替え終えたSumomoは、のぼせた体を冷ますために、石の階段を上っていった。その先には
ジャズベイブドウやラベンダーやリーキなど、多数の植物が植えられた畑やプランターのあるガーデニング広場へと繋がっていた。
一面を見渡すと、畑近くにある木のベンチにバベットとルシエンの2人が座り、何か話し合っている。

バベット:・・・あら、終わった?ずいぶんと着替えが遅かったじゃないの。
ところで、ルシエンと今後について話し合っていたのよ。今までのあなたの業績や、シセロの・・・・・・
夜母に対する忠誠心は、とても立派だと褒められたの。私もあなたたちのメンバーでいて鼻が高いわ!
えっと・・・・・・あ、ありがとう・・・。

頬を少し紅潮しながらも、感謝の気持ちを伝えるバベットの姿に、Sumomoは自然と顔が綻んだ。

Sumomo:私がここまで成長できたのも、バベットのおかげでもあるし、逆にこっちのほうが
お礼を言わなきゃいけない立場だわ。・・・だって私にとって、闇の一党の大先輩はバベットなんだもの。

バベット:えへへへ・・・!

バベットは照れくさそうにして笑うと、再び顔を見上げた。

【第33話】錯覚か幻覚か

バベット:Sumomo・・・あなたの進む道を、一瞬邪魔したくなってしまったけれど・・・仕方ないわね。
しばらくは寂しくなるけれど・・・・・・大学頑張ってね。でもこれだけは言っとくわ。
私よりも一番寂しがるのは・・・シセロかもしれない。だって、シセロとおしゃべりする時にいつも感じていたもの。
会話する内容も、夜母は勿論・・・それ以上にあなたのことばかり話すのよ。
・・・だから、旅立つ前にきっちりと大学のことを話して、本人を納得させておくべきだと思うわ。
アイツ・・・見かけによらず神経質な性格の持ち主だし、あなたが突然いなくなってしまったら、たぶん・・・発狂するでしょうね。
根気よく説得しないと。後で何をするかわからないから、気をつけるのよ。

Sumomo:うん・・・わかった。何としてでも理解してもらわなきゃ。本人が納得して、私を笑顔で
見送ってくれるかどうかは別として・・・。
少し不安があるけれど・・・もう決めたからには、後には引けないもの。

Sumomoはこれまでの夢を通じて彼の闇を垣間見てきたが、それはまだ序盤にすぎない。
これからも彼の心の深部まで知ることになると思う・・・・・・。

一番近い存在と思っていたシセロのことを、まだ疑っている気持ちがきっと心のどこかに残っているから
この間の事も、彼との距離を自ら遠ざける行動に出てしまったんだと思う。
・・・彼の優しさは本当の姿なのか?と、疑念を抱いてしまう自分を攻めたりもした。
脅える心を奮い立たせて前進しなければ、きっとシセロに心配を掛けてしまうだろうし、せっかくオラヴァが
親切に助言してくれたことも無駄になってしまう。Sumomoはいつもの癖で溜め息をつい、漏らしてしまった。

憂鬱な表情を浮かべたSumomoの横顔を、ずっと真剣に観察していたバベットは何かを思い出したのか、やがて口を開いた。

バベット:・・・あのね、うまく表現できないけれど、あなたとしゃべっていると
遠い昔に、どこかで会ったことがある人のような懐かしさを感じるのは、私の気のせいなのかしら?
最近のあなたって・・・全然カジートに見えないときがあるのよね。ふと、人間らしいなって・・・。
それが関係してるのかも?

突然奇妙なことを言い出したバベット。Sumomoはつい、フフっと苦笑いを浮かべて言い返した。

Sumomo:生まれてから今日まで、ずーっと獣人カジートのまま。どこが人間だっていうの?
鏡で毎日自分の顔を見てるけど、特に変わったところは見当たらなかったもの。

バベット:本当よ!うっすらだけど・・・。シセロがあなたの顔をジロジロ見ていた理由は、きっとこれに間違いないわ!


――――――――――――――――・・・


「・・・最近のシセロ、なんか変・・・。恋人同士じゃないのに、至近距離まで顔を近付けたり・・・」

「顔を近付けたのはちゃんと理由があってねぇ・・・」

【第33話】錯覚か幻覚か


・・・―――――――――――――まさか、嘘でしょう?


バベット:私が見たこの現象も、あなたのそのドレスと深い関わりがあるんじゃないかと思うの。
初めてそのドレスを見たとき、不思議な感覚に襲われたわ。すべては血の匂いが私に語りかけてくるんだもの・・・。
悲しみ、苦しみ、儚さ、そして怒り・・・色んな想いが激しくぶつかってくる。
このドレスに宿る彼女の呪いを解き放つには、苦難が待っていると思うのよね・・・。
あなたがどれくらいそれに耐えられるのかしら・・・・・・?とても・・・心配になるわ。

・・・・・・それでも私はこのドレスを手放せなかった。
なぜなら単純にシセロから笑顔を奪いたくない、と思っているから。

黒いドレスを私にプレゼントしてくれた時のシセロの笑顔は、心から溢れ出ていた気がする。
今思うと、あの時の私の精神は不思議と癒されていたの・・・。

私にとっても彼にとっても幸せでいられるように、いつも彼が笑顔で満たされる日が来るように、私はこのドレスを
脱ぎ捨てたくないと思った。ただそれだけ・・・・・・。

今までのあの人の笑みは、作り笑いのような気がするから・・・だから本当のあの人の幸せそうな顔を、いつか見てみたい。

あの人に興味が湧いてきたのは、いつの頃からかは分からないけれど・・・気が付いたら、私の頭の中身は
シセロでいっぱいになっていた。

皆が言うシセロが変わり者なら・・・シセロのことが好きな私も、相当変わり者なのかもしれないね・・・。

バベット:はぁ~・・・。シセロのことが心配でたまらないのね。もう私から何を言っても無駄なのね。
見捨てるつもりはないけれど、私にはその呪いを解く力はないから、あなたの身にこれからどんなことがあっても
助けることはできないわよ。

再びブルブルと寒気が復活すると、鳥肌が全身に行き渡り毛が逆立った。
この寒気もバベットが見たという例の女性の姿が、私のそばにいるのかもしれない・・・。

【第33話】錯覚か幻覚か

・・・想像するだけで益々、血の気が引いてくる。

バベット:あなたが聖域から離れると、当然シセロは孤独になるわ。
これから何が起きるのか私には未来を当てる力は無いけれど、何となく聖域の今後が不安でしょうがないのよ・・・。

聖域の未来・・・・・・?
確かずっと前にもこれと同じニュアンスで、私の夢の中でガブリエラが現れて呟いていた・・・。

"自分の未来が少し見えるの・・・近い将来私は死ぬわ。家族のことはわからない・・・でも、虚無に深い闇が渦を巻いていて・・・・・"

未来を予想できても、それが必ず現実に繋がるかはSumomoにも夜母にもわからない。
強いて言うならば、運命を司る神にしか知り得ないことだろう。

「聖域にもしものことがあったら、真っ先に私達のところへ必ず飛んで帰ってきて!」と、バベットと約束を交わした。

明日からはいよいよ、ガイアス・マロ殺害計画を実行する予定だ。
これが終わったら、ファルクリース聖域には一ヶ月ないし一年先まで帰ってこれなくなるかもしれない・・・。

・・・寂しさと少しの不安を残しつつ、Sumomoは床についた。
夜空には無数に散りばめられた星が、秋冷の凛とした寒さによって一際輝きを増し、Sumomoの目に美しく映って見えていた。

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Sumomo R.

Author:Sumomo R.
いつもご訪問ありがとうございますo(*´∇`*)o♪
2016/10/21付けで完全にスカイリム専用ブログとなりました。
当ブログはR18/G※エロ・グロ含む記事がありますので、18歳未満の方は速やかにご退場ください。
オススメのMODの紹介やプチ小説(最初はゲーム日記だったのですが、妄想が止まらなくて小説染みた内容に変化しました・・・;)
下手な素人小説ですが、温かい目で見守ってください。
※MODは日々更新されておりますので、載せてる記事内容は古くなります。
※一部ネタバレ記事あり。
※拍手御礼画像は不定期で更新。
※当ブログはリンクフリーです。

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